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熊本地方裁判所 昭和36年(秩ろ)1号 判決

被制裁者 横山茂樹

決  定

(被制裁者弁護士氏名略)

右の者に対する法廷等の秩序維持に関する制裁事件につき、当裁判所は次のとおり決定する。

主文

本人を過料三万円に処する。

理由

(事実の要旨)

本人は、福岡県弁護士会所属の弁護士であるが、昭和三十六年四月十日、当裁判所刑事第一号法廷において、被告人引田芳子同橋本シズ同松尾カヅ子に対する暴力行為等処罰に関する法律違反同百田昭、同後藤留治に対する暴力行為等処罰に関する法律違反、傷害、同宮原正満に対する脅迫、暴行、同竹ノ内久一に対する公務執行妨害各被告事件につき弁護側冒頭陳述を行うに際し、同日午後二時三十分頃、今次三池争議の発生原因並にその経緯に言及し福岡地方裁判所が発した各種仮処分命令について、「裁判所は、会社側の巧妙な作戦のペースに巻込まれて理性を失い、八時間以内に仮処分を認めるという暴挙を敢てした。」「その仮処分は極めて政治的な内容である。」「これは憲法に違反した仮処分で法の支配は法の番人によつて破られたものであります」等の暴言を弄し、以て裁判の威信を著しく害したものである。

(適用した法条)

法廷等の秩序維持に関する法律第二条第一項。

(裁判官 安東勝 松本敏男 鍋山健)

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